高額で売れる代表的な輪島塗の特徴
輪島塗が持つ高い市場価値は、堅牢な「下地工程」と、複雑な技法によって支えられています。中でも以下の要素が特に評価されます。
- 「木地固め」：天然木材を使用し、生漆を何度も染み込ませることで防湿性と強度を高めます。
- 「布着せ（ぬのぎせ）」：木地の表面に麻布を貼り、その上に漆を重ねる技術。これにより耐久性が飛躍的に向上します。
- 「地の粉」と「砥粉（とのこ）」：輪島特有の珪藻土を含む地の粉を使い、複数の層で下地を形成。これにより傷に強い塗膜が完成します。
また、沈金（ちんきん）や蒔絵（まきえ）などの技法が施された作品は、工芸的な美術品として評価が高まります。遺品整理でこれらの技法を使った品が見つかる場合、その価値は一層高まります。
さらに、輪島塗の美しさは、「呂色仕上げ（ろいろしあげ）」という磨き技術にも表れます。複数回にわたる研磨で、漆表面を鏡のように仕上げ、光沢を引き出します。こうした技術を駆使した輪島塗は、贋作（がんさく）対策が施された本物であるほど買取価格が跳ね上がります。
高額買取が期待できる工房・作家
輪島塗の市場価値を大きく左右する要因のひとつが、製作された工房や作家の名前です。特に以下の工房や作家は市場での評価が高く、遺品整理で発見できれば買取価格も期待できます。
- 「角偉三郎（すみ いさぶろう）」：輪島塗の第一人者として知られ、現代工芸運動を牽引。
- 「中村宗哲（なかむら そうてつ）」：漆芸の名匠であり、彼の作品は美術館に収蔵されることも。
- 「大雅堂」や「藤八屋」：輪島市内でも名門とされる工房で、古い作品ほど価値が高い傾向にあります。
これらの銘が入った輪島塗は、経年変化による風合いが評価され、修復を重ねて使われた品も高値で取引されます。
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